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【号外】 新型インフルエンザ(A/H1N1)の現状と対応策

 4月30日に引き上げられたメキシコで発生した新型インフルエンザ(2009年A/H1N1:Influenza A virus subtype H1N1またはブタ由来インフルエンザ〔swine-origin influenza〕)のフェーズ(phase:段階〔警戒レベル〕)は、現在「5」になっています。
 今回は、世界各地に広がりつつある新型インフルエンザの現時点における状況と対応策に関してお話ししたいと思います。

1.全般的な状況

 一般の人の中には、フェーズが引き上げられると病状が悪化していると勘違いしている人もいるようなので、正確な知識を教育する必要があります。日本では、フェーズ4と5に関して、それぞれ(A)、(B)の2段階の対応を準備しています。(A)は日本国内で感染者が確認された場合で、第1段階(海外発生期)とも言います。また、(B)は日本国内で感染者が確認された場合で、第2段階(国内早期発生期)とも言います()。


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 改定前の行動計画におけるフェーズ分類と発生段階との対応表



 本日(5月20日)午前10時現在、国内全体で196名(世界全体:10,312名、死者80名)を越える新型インフルエンザの感染者が確認されています。これは、厚生労働省のステージでは第2段階(国内発生早期)に、WHO(World Health Organization:世界保健機関)のフェーズでは「5」になります)。


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 発生段階と方針



2.感染力と病原性

 WHO並びに国立感染症研究所によると、現在の新型インフルエンザウィルスの感染力は季節インフルエンザと同程度またはそれよりも少し強く、病原性は「弱毒性」と報道しています。
 必要以上に過敏になる必要はありませんが、1,000名に1名が死亡しているものなので免疫力の低い子供や高齢者、妊娠中の女性、基礎疾患(喘息、糖尿病、リウマチ等)のある人に関しては特に注意を払う必要があります。
 また、基礎疾患のある人が自己判断で日常服用している薬剤と総合感冒薬等のOTC医薬品(Over The Counter Drug:一般用医薬品、市販薬、大衆薬)とを安易に飲み合わせることも重篤化を誘発する可能性があるので注意が必要です。


3.感染の状況など

 以下は、新型インフルエンザ専門家会議が2008 年7 月30 日に発表した「新型インフルエンザ発生時の社会経済状況の想定(一つの例)」からの抜粋になります。

3−1 感染状況

?国内でヒト・ヒト感染の大規模な集団発生が見られる
?受診者が急増
?患者受け容れ医療機関の拡大
➃患者への抗インフルエンザ薬投与

3−2 社会状況の変化

(?〜➃:感染拡大防止対策、?〜?:BCP)
?感染拡大防止対策の強化
?発生地域で学校の休校
?発生地域で公共交通機関・職場で感染の恐れ(一部の事業所が休業)
➃百貨店、劇場、映画館等の休業または来客数の減少
?不要不急の業務の縮小または休止
?社会機能の維持に関わる事業の継続と不要不急の事業の休止
?事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)に基づく
  人員体制等の変更
(注)各メディアからは「弱毒性の場合、?〜?の事業継続計画 (BCP:
   Business Continuity Plan)には配慮しなくても良いのではないか」
   との指摘もあります。



4.感染拡大防止対策

 新型インフルエンザの発生段階が現在の第2段階(国内発生早期)から第3段階(感染拡大期)へ移行される可能性が大きくなりました。第3段階では、発生患者が増え、接触した履歴を追うことが困難になります。
 また、第3段階では、一人ひとりが感染拡大を防止する役割を担うことになります。

4−1 新型インフルエンザにかかる前の対策(予防対策)

?行動対策

 重要な用事、緊急の用事以外での外出(不要不急の外出)を避けます。どうしても外出しなければならない時はなるべく短時間ですませ、人混みをさけます。さらに咳エチケット、手洗いを日常的に実施します。
?感染防止対策(手洗い)

 手洗いは、以下の手順で行います。時間は15 秒〜 30 秒かけて行います。
a)石けんをよく泡立てる
b)手のひら、手の甲を洗う
c)指の間を洗う
d)親指を手のひらで包むように洗う
e)爪の先端部を掌にたてて洗う
f)洗った後はよく乾燥させる
 手指消毒用のアルコール消毒液(アルコール濃度60 〜 80%)も効果はありますが、携帯用は入手が困難になっているので手洗いを確実に実施する。
?感染防止対策 (マスク)

 マスクは使い捨てで不織布のサージカルマスク(surgical mask:医療用マスク、一般的には衛生用マスクを指すこともある)を着用します。マスクは基本的に感染者が他人を感染させないためと、他人からの感染を防ぐために使用するだけでなく、自分の手に付着したインフルエンザウイルスの目や鼻、口への接触感染を防ぎます。現在、マスクは非常に入手しにくくなっています。
 粗悪品にも注意が必要です。花粉症様のマスクでは、効果があまり期待できません。それは、インフルエンザウイルスの大きさが1〜2μm(1μm=1/1,000mm)なのに対して花粉症用のマスクでは表面の隙間が10μmだからです。
 マスクが無い場合の代替策としては、ティッシュとビニール袋数枚を携帯し、くしゃみや咳、鼻水が出た場合、咳エチケットを守りながら、使用後はすぐにビニール袋に入れ密閉してください。ビニール袋は、確実にゴミ箱に捨てることです。
➃情報対策 (一般)

 情報は、確実なルートから入手する。国(厚生労働省等)、都道府県、市区町村等の公の機関の他、国立感染症情報センター、WHO なども参考になります。
?情報対策 (発熱相談センター)

 感染の疑いがある場合には、まず、発熱相談センターに電話を掛けます。事前に、発熱相談センターの電話番号を確認します。

4−2 新型インフルエンザにかかった場合の対策(感染時の対策)

?発熱外来、感染症指定医療機関

 発熱相談センターに連絡後、発熱外来、感染症指定医療機関等を受診しますが、発熱外来は、通常の病院が発熱外来を設置する場合と、別途広い場所に医師、看護師が待機し診療する場合があります。
 いずれの場合も移動手段の確保が必要です。公共交通機関ではなく、できれば自家用車や徒歩が望まれます。自家用車が無く、徒歩も困難な場合は発熱相談センターに相談する。
?自宅療養

 感染拡大が進むと、重症患者は入院、比較的症状が軽い場合は自宅療養になります。自宅療養では、次の点に注意して、患者の静養および他の家族への感染拡大防止を行うことになります。
a)他の家族と患者はなるべく別の部屋
b)床は消毒しやすいようにフローリング、またはビニールシートを敷く。
c)看病はできれば一人が行い、看病後は手洗い、うがいを行う。
  看病はする方もされる方もマスクを着用する。
d)食器類は通常の洗浄で、また消毒は家庭用の漂白剤なども
  効果がある。トイレの後のノブ、スイッチ等も消毒する。
e)感染している可能性が高い同居者などは外出を自粛し、保健所へ健康
  状態を報告することが法律で定められてる。


5.事業継続計画 (BCP:Business Continuity Plan)

 BCP は全企業・全組織が装備すべきものですが、新型インフルエンザについては以下のA またはB に該当する企業・組織は至急装備することが求められています。
A)自社・自組織は医療従事者等または社会機能維持者である
B)自社・自組織の顧客に医療従事者等または社会機能維持者
  がいる

 新型インフルエンザ専門家会議は、『新型インフルエンザワクチン接種に関するガイドライン』で医療従事者等および社会機能維持者の範囲を次のように示しています。
1) 医療従事者等

   医療従事者、救急隊員、医薬品製造販売業者等
2) 社会機能維持者

?治安維持

  消防士、警察官、自衛隊員、海上保安官、矯正職員等
?ライフライン関係者

  電気事業者、水道事業者、ガス事業者、石油事業者、
  食料販売関係者等
?国または地方公共団体の危機管理に携わる者

  国会議員、地方議会議員、都道府県知事、市町村長等
➃国民の最低限の生活維持のための情報提供に携わる者

  報道機関、重要なネットワーク事業・管理を行う通信事業者等
?輸送

  鉄道業者、道路旅客・貨物輸送業者、航空運輸業者、水運業者等

5−1 BCPの優先項目

 新型インフルエンザ対策のBCP で優先して策定すべき項目は次のとおりです。ただし、前述のとおり「弱毒性の場合は、BCP の発動は不要」との指摘があります。
?新型インフルエンザ対策本部設置計画

?休業計画・再開計画

  事業部・店舗などの休業手順、再開手順書
?従業員・関係者との連絡網

  従業員・役員・関係者(派遣社員)およびその家族との連絡網で、
  連絡メッセージのサンプルを含む
➃顧客・サプライヤー(supplier:供給業者)・物流業者との連絡網

  顧客・サプライヤー・物流業者および代替サプライヤー・物流業者との
  連絡網で、連絡メッセージのサンプルを含む
?必要要員計画

  社会機能を維持するために必要な要員の洗い出しと、代替要員の確保
  手順、代替要員の交差訓練手順を含む
?必要資金推計(キャシュフロー計画)

  感染拡大防止対策及びパンデミック期間中に必要となる資金計画、
  金融機関との契約書を含む
?逸失売上額推計

  事業部・店舗の縮小・休止にともなう売上額の減少を推計する手順書。 
  従業員などの罹患・死亡に関係する費用等を含むことがあります。

5−2 想定すべき状況

?欠勤者の増加
?サプライチェーン(supply chain:供給連鎖)の中断
?在庫の一部積み増し
➃受取金の一部遅延


6.新型インフルエンザ対策本部について
6−1 新型インフルエンザ対策本部のタイプ

 対策本部には2つのタイプがあります。 医療従事者等および社会機能維持者と、医療従事者等および社会機能維持者を顧客に持つ企業・組織は?のタイプになります。
?感染拡大防止対策のみを実施する

?感染拡大防止対策とBCP を実施する


6−2 対策本部の例
(☆印はBCP関係)
対策本部長

● 対策本部を統括し、感染拡大防止対策とBCP を担当する
● 社内向け新型インフルエンザ対策マニュアルの制作責任者になる
● 休業規定、自宅勤務規定など就業規則の修正責任者になる
● 社内外向けに対策と感染状況を周知する

副本部長

● 対策本部長を補佐する
● 対策本部長が不在の場合は、対策本部を指揮する

計画班

● 感染拡大防止対策とBCP を担当する
☆ 対策本部及び全社の要員計画(代替要員を含む)を担当する
☆ 感染者数・休業者数など推計を随時行う
☆ 自社事業・業務の洗い出し、事業・業務の優先順付けを担当する
☆ 被害額の推計、資金計画を作成し、金融機関(保険会社を含む)との
   協議を担当する

情報班

● 感染拡大防止対策とBCP を担当する
● 海外の工場、支店、事務所などとの連絡・支援を担当する
● 国内外の新型インフルエンザ関係情報の収集と社内外への周知・
   連絡を担当する
☆ 国内外の顧客・サプライヤー(supplyer:供給者)との契約を見直し、
   対策案作成を担当する
● 国内外の行政機関(大使館、領事館、外国の病院など)との連携を
   担当する

用品・物流班

● 主に感染拡大防止対策を担当する
● 新型インフルエンザ対策用品・備品(マスクなど)の選択・購買・保管・
   配布を担当する。
● 近隣の保健所・病院・診療所・宿泊施設との連絡・提携を担当する
☆ 新型インフルエンザ流行時の通勤対策、物流対策の対策を担当する
☆ 新型インフルエンザ流行時の通勤関係・物流関係の事故・事件を
   担当する

現場対策班

● 主に感染拡大防止対策を担当する
● 新型インフルエンザ流行時の従業員・その家族との連絡を担当する
● 従業員・その家族に対し、個人・家庭での新型インフルエンザ対策を
   支援する
● 従業員・関係者に職場内での感染拡大予防対策の教育と訓練を
   担当する
● 職場内で、感染者・疑似感染者が発生した場合の輸送・消毒を
   担当する
● 感染者・休業者・遺族への支援を担当する

こちらの動画もご覧ください。
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『新型インフルエンザから身を守る知っておきたい感染予防策』

            (2009年03月29日配信 再生時間12:34)

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The melody is guiding my stirring heart

第31回 統合失調症治療にシナジー効果を働かせる

 2002年8月に横浜で開催された日本精神神経学会総会で精神分裂病(schizophrenia)から統合失調症(schizophrenia)へ正式病名変更されてから久しいですが、元々はドイツ語の分裂(schizo)と精神状態(phrenia)の造語からきています。
 統合失調症は精神分裂病と原語では同じですが、思考、感情、体験の間の相互の分裂、精神機能の要素的構成の分裂、人格の構造連関の喪失といった心理学的特徴である心的機能の分裂状態(精神機能統合性破綻)を意味しているものであって1899年にドイツの精神医学者Emil Kraepelinが早発痴呆(dementia praecox)の病名で疾患単位を独立させたところに端を発しています。その後、1911年にスイスの精神医学者Paul Eugen Bleulerによって早発痴呆と呼ばれた病態は心理学的(精神病理学的)特徴によって捉え直されました。
 確かに、病状が悪化した時は精神機能がまとまらずに滅裂していますが、病状が安定(統合性が回復〔recovery〕)すれば、病気による問題は残っていても健康人です。
 しかし、精神医学治療薬発達に伴い、この疾患を有する患者過半数治癒することが解明されました。そこで、長きに亘って続いてきた精神そのものが分裂してしまうというマイナスイメージ(患者の人格否定や誤解、差別)を是正する必要が出てきたわけです。最近では、有害事象が発現しにくい新世代抗精神病薬(antipsychotic)が開発され有効治療可能となりました。
 さて、今回はこのブログの第29回の中の『徒然サプリメント』でお話ししたことを少し掘り下げて統合失調症治療シナジー効果働かせる方法についてお話ししたいと思います。

統合失調症治療薬は第3世代に突入

 先般もお話ししたとおり、統合失調症発症率約100人に1人と言われていて、平成17年度の「患者調査」によると日本でも約76万人治療を受けていると報告されています。非常に身近な疾患と言えるでしょう。ここでは、薬物療法にスポットをあててお話ししたいと思います。
 日本における抗精神病薬による薬物療法では、多剤大量併用処方突出しています。このような投与法によって患者は、薬物による有害事象に頭を抱えている場合が多々あります。統合失調症治療においては、継続的服薬予後改善は患者にとって非常に重要なことです。
 統合失調症患者は、疾患だけでなく、疾患に対する周囲の無理解から生まれる社会的なスティグマ(stigma:差別や偏見)に加えて薬物療法によって起こる身体合併症の3つの病と闘っているのです。
 特に医療従事者は、患者に対してアドヒアランス(adherence:患者自らが能動的に治療に参加すること)を高めるために患者との関係性を育みながら患者からのニーズに応じる必要があります。つまり、医療従事者には、患者の立場に立って第3者の視点から服薬状況確認して患者と家族のニーズにあった情報提供を行うという非常に重要な役割があるということです。それは、患者だけでなく家族精神的負担軽減させることにもなるからです。
 薬物療法によって起こる様々な身体合併症は、患者SOL(sanctity of life:人間的尊厳を保った生活)を著しく損ねる原因になっています。この点に関しては、患者精神症状だけでなく、身体症状にも十分配慮しながら適切抗精神病薬投与量設定有害事象少ない薬物選択することで予防可能になります。すなわち、統合失調症患者治療には、医療従事者患者の両サイドからの複眼的視点を持つことが求められるということです。
 統合失調症の発症メカニズムは、精神生物学的脆弱性社会環境的なストレスによる相互作用が薬物療法や家族、職場などといった周囲からの感情的支持社会生活技能発病に対する防御要因十分でない場合に発症(再発)を来たすという考え方にあります。つまり、精神生物学的脆弱性とは統合失調症になりやすい心理機能とそれを形成する脳機能の作動特性にあることが大きな要因となる認知機能障害にあると考えられているからです。
 統合失調症の場合、食事や金銭に関わるマネジメントができずに生活障害(人づきあいや気配りが苦手、疲労感、要領の悪さ等)といった認知機能障害の影響が現れます。この認知機能障害改善できれば、症状だけでなく生活面でも長期的な予後改善面でも多大な影響を及ぼします。
 統合失調症治療では主に抗精神病薬使用されますが、従来型の定型抗精神病薬(typical antipsychotics )は認知機能障害に対する十分な改善効果得られませんでした。近年では非定型抗精神病薬(atypical antipsychotic)はこの認知機能障害改善する可能性があること解明されつつあります。心理社会的治療(精神科リハビリテーション)でも認知機能障害改善効果が示されていて、薬物療法との併用治療を行うことの重要性高まってきています。
 抗精神病薬は、ドーパミン受容体(dopamine receptor)のうち、ドーパミンD2受容体(dopamine D2 receptor)に結合することで作用発揮します。ドーパミンドーパミンD2受容体結合することで受容体完全活性化して神経信号伝えています
 抗精神病薬発展を見ると、定型抗精神病薬である第1世代が登場し、第2世代ではドーパミン受容体結合完全遮断して神経への信号伝達を防ぐアンタゴニスト(antagonist:拮抗薬)である非定型抗精神病薬を経て、第3世代突入しました。
 この第3世代に位置づけられるDSS(dopamine system stabilizers:ドーパミンシステム安定化薬)には、ドーパミン活動過剰な場合にはドーパミン情報伝達低下させ、ドーパミン活動低下している場合にはドーパミン情報伝達促進させることによって常時安定化させるという特性があります。このことは、薬物療法DSS切り替えたことで患者陰性症状改善されたことからも立証されました。
 つまり、DSS特性部分的受容体活性化させるパーシャルアゴニスト(partial agonist:部分活性薬)にあって、脳内ドーパミン経路完全遮断しないで、ドーパミン情報伝達適切保持することにあります。すなわち、ドーパミン受容体結合しても情報伝達完全遮断しないため用量上げて錐体外路症状(extrapyramidal symptom)が発現しにくいことにあるということです。また体重増加代謝異常に対する影響が少ないことも米国精神医学会糖尿病学会肥満学会内分泌学会報告されています。
 前述したように日本における抗精神病薬による薬物療法では、多剤大量併用処方突出しています。抗精神病薬多く服用すれば、当然のことながら有害事象増え、それを抑制するための薬物必要になってきます。この負のスパイラル(多剤大量併用処方)を断ち切るためにも患者病態生理想像し、統合失調症本質を考え、SOL視野に入れた治療行うことが必要になってきます。統合失調症における薬物療法では、ドーパミン情報伝達適切保持する治療として身体における有害事象から脱却する手段が求められます。その薬物療法として現在、DSSへの期待が高まっています。

VSSの併用で統合失調症治療にシナジー効果を働かせる

 長期的抗精神病薬による治療では過剰な鎮静(sedation)状態は、日常生活における活動の制限や転倒・事故にもつながる注意力の低下といったリスクを伴います。また過剰な鎮静状態は、認知機能低下服薬中断誘発する可能性があります。
 NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会が実施した『2006年 精神医療ユーザーアンケート調査報告書』によると、精神障害薬物療法を受けている患者が薬物の服用で発現する有害事象として29.1%が「頭がボーッとする」「だるい」と回答、27.1%が「日中、眠くなる」と回答していて、患者約30%日常生活支障を来たしていると報告しています。また、丹羽真一氏(福島県立医科大学医学部神経精神医学講座教授)は「精神疾患薬物療法を受けている患者の多くは治療薬鎮静作用原因と思われる有害事象に頭を抱えています。しかし、このような過剰な鎮静見逃されていることがあります」と発言しています。このことは、医療従事者患者のより良い日常生活が送れるようにSOL考慮した抗精神病薬選択することが求められているということが発言の背景に感じられます。
 このような現状から脱却するために大塚製薬(株)〔Bannersにもあります〕は、抗精神病薬服用による過剰な鎮静作用疑似体験することができるVSS(Virtual Sedation Simulator)を開発しました(写真)。


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写真
 VSS体験中の状況



提供:大塚製薬(株)


 VSSは、患者立場から抗精神病薬による鎮静作用日常生活に与える影響理解するために非常に有用装置です。また、過剰な鎮静状態が患者にとって潜在的有害事象であることを理解する上でも必要装置となります。
 具体的には、モニター(写真左奥)、バイザー(写真:体験者頭部)、ボード(写真:体験者右手奥)、電話(写真手前)の4つのアイテムを使用してバーチャルな鎮静状態下で「電話をかける」「写真合わせ」「描写」の簡単な3つの作業を行うことで、日常生活下での鎮静状態体験することができます。
 モニターには画面や音声で指示結果表示バイザー視界ぼやけ歪み作り出して鎮静状態再現ボード図の描写使用されます。
 医療従事者がこの装置活用することで、患者過剰な鎮静状態明確認識することが可能になるため、薬物療法効果的行う際に役立つものです。前述したように、この装置を活用することで医療従事者が患者の過剰な鎮静状態をより理解できるとともに有害事象発現少ない治療法選択することで、統合失調症治療シナジー効果働かせるものであることは確かです。
 現在、大塚製薬(株)では、このVSS日本版を医療従事者に対して体験できる機会提供しています。より効果的統合失調症治療を行うことは、医療機関提供するサービス向上にも貢献できるはずです。
 統合失調症領域に携わっている医療機関は、提供するサービスを向上するためにもVSS体験第1選択薬として鎮静少ない薬物導入を検討されてみる価値十分にあると思います。

 今回の執筆に際して、大塚製薬(株)様の多大なるサポートが得られましたことを、この場を借りて感謝の意を表したいと思います。

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第30回 心理社会的療法を活用した次世代の統合医療に向けて

 皆さんも様々なメディア等で耳にしていると思いますが、近年、医療分野注目を集めているのが心理社会的療法です。
 これは、CAM(Complementary and Alternative Medicine:補完代替医療)として位置づけられているもので、その領域は音楽療法音響共鳴療法(5つの音の調和音を患部に当てて、共鳴・共振させることで健康状態に戻す療法)、カイロプラクティック(Chiropractic)、リフレクソロジー(Reflexology:足裏にある反射区を刺激して血行促進することで体の不調を解消する施術療法)、ヒーリング(Healing:癒し)やカラーセラピー(Color therapy:色彩を利用した療法)等、多岐に亘っています
 CAMは、通常医療との融合による統合医療というスタンスで相乗効果が得られるものです。その視点ホリスティック医療(Holistic Medicine)にあり、いわば足し算になります。その特徴は、始めに全体ありきというスタンスをとるところにあり、スピリチュアルな手法も排除せず、医師主導でなく患者が自ら癒すことを重視することにあります。
 米国では、周知のとおり日本のような国民皆保険制度がないため(無保険者数約4,700万人:全人口の約16%)医療費が高額なこともあることからCAMは健康維持や軽度疾患を回復するための医療サービスとして積極的に取り入れられています。さらに米国政府はこのCAM有用性検証研究するためにNIH(National Institutes of Health:米国国立衛生研究所)の下部組織としてNCCAM(National Center for Complementary and Alternative Medicine:米国国立補完代替医療センター)を設立しました。
 余談ですが、米国では1990年代前半にクリントン政権下において国民皆保険の導入に失敗した経緯があります。今回、オバマ政権下で国民皆保険の導入を再度試みます。道のりは遠く平坦ではないでしょうが、同じ失敗を繰り返さないよう期待せざるを得ません。
 また、英国におけるリフレクソロジーのように、看護師であるRen’ee Tanner氏たちの活動によって数年にわたる大量の実データ収集実証的・科学的・医学的な検証を経て、数年に亘る実データの蓄積を含む正規の科学的な検証を経たうえで、議会の承認を経て正規の保険医療組み込まれて成果を上げているものもあります (日本では、まだCAM扱い)。実際に英国ではリフレクソロジーは緩和ケア等、患者中心のケア領域SOL(Sanctity Of Life:人間的尊厳を保った生活)に貢献しています。
 前述のように、CAM世界的(先進諸国)に見ても医療サービスにおいて重要な位置づけがなされています。
 イントロが長くなりました。さて今回は、これらCAMの中でも次世代の統合医療に向けて期待されているカラーセラピーについてお話ししたいと思います。
 皆さんは、オーラソーマ・カラーケアシステム(Aura-Soma Color Care System)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
 オーラソーマ・カラーケアシステムとは、1983年に英国薬剤師でありキロポジスト(Chiropodist:足専門の治療師)である故Vicky Wall氏によって生み出されたカラーセラピー法のことで英国発最新のカラーケアシステムのことです。
 オーラソーマは、ラテン語で「光輝」、古代ギリシャ語で「身体」を意味するオーラ (Aura)、アラム語(メソポタミアで紀元前500〜600年頃に話された言語)で「存在」、サンスクリット語(古代・中世にインド亜大陸や東南アジアにおいて公用語として用いられていた言語で現在のインドの公用語のひとつ)で「生きているエネルギー」という意味を持つソーマ (Soma) を組み合わせた造語です。
 このオーラソーマ・カラーケアシステムは、誰かから指示を仰ぐのではなく、自分自身で100本以上のイクイリブリアムボトル(Equiribulium bottoles:色と香りのついた油と水が上下2層に分かれて入っている四角いボトル〔写真〕)の中から、気になる4本のボトルを選択して才能、本質、現在の状況等を判断するものです。その利点は、楽しみながら本当の自分を知ることができることにあります。このシステムは選ばれたボトルから無意識に感じているストレス不安などの原因が分かり、メンタル健康診断として有用であると言えるものです。


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写真
 イクイリブリアムボトル



 現在、このオーラソーマ・カラーケアシステム臨床実験が進められていて従来の医学常識では考えられないこと成果として臨床現場で見られています。このことは、全ての疾患と闘う苦しい臨床現場における新たなサービスツールとして位置づけられるとともに、その可能性期待が寄せられています。今後、症例数増えてくるものと思われます。
 人間に与える影響は、計り知れないほど大きなものです。そして臨床現場においてもメンタルケア一環として今後このシステムは大きな役割を果たしていくことでしょう。なぜならメンタル面での活性化を促すだけでなく、自ら健康でいようとする自然治癒力による健康力を高める要因にもなるからです。
 CAMを考える時、現状の日本の医療システム下では患者の権利まで抹殺してしまう可能性懸念されます。患者の立場から医療利権の競合の中で治療法が恣意的取捨選択されてしまうのではなく、あくまで効果科学的に検証されるのか否定されるのか、という実データEBM(Evidence Based Medicine:根拠に基づいた医療)の観点に基づいて個別的かつ細やか治療法比較採用されていくことが求められます。
 日本では、海外で有用でないとされている治療法をいまだに継続していたり、逆に有用であると実証された治療法(WHOが承認しているCAM:カイロプラクティックや音響共鳴療法等を含む)が導入されていない等、厚生労働省対応が遅いことは今後の日本の医療サービスを考えると実に哀しいことです。このことは改善方向にあるとはいえ、いまだに物議を起こしています。
 日本において現段階では、カラーセラピーは原則的に精神疾患の患者に対してコンサルテーションが行えないことになっています。ですが、精神疾患を伴わない患者の家族緩和ケアを受けている患者に対して(音楽療法のように)行う分には法律上問題はありません
 カラーセラピーは、メンタルケアへ活用する付帯サービスとして非常に有用であると思われます。またメンタル面で負荷が掛かりやすい従業員の福利厚生の一環として導入を検討しても良いでしょう。チャプレン (chaplain:教会に属さない組織に従事しているキリスト教聖職者)のいる医療福祉機関であれば、組織学的環境の観点から考えても比較的導入容易なのではないでしょうか。
 私の知人aica☆藍伽氏は、このオーラソーマ・カラーケアシステムを活用してDivine☆Loveというサロンを主宰しています。彼女への相談者も多く、お話しを聞いているとその判定力もさることながら現在の日本の「病みの縮図」を感じます。彼女からは、精神医療領域(医学的視点)とは別の新たな視点人間の心のメカニズムを学びました。
 日本では医療分野におけるカラーセラピー認知度はまだ低いですが、これら心理社会的療法としてのCAMと通常医療を融合した統合医療需要は今後ますます増していくものと思われます。つまり、今回お話ししたことだけでなく提供するサービスにいかにValue(付加価値)が付けられるかによって事業体としての拡大発展懸かっていると言っても過言ではありません
 皆さんの法人でも先駆的なサービスツールとしてカラーセラピー導入を検討されてみてはいかがでしょうか。



【徒然サプリメント】

新薬を迅速に供給するには…
─ Drug lag
(§)の短縮が日本の医療の質を上げる ─

 造血器腫瘍(hematopoietic tumor)に対する抗がん剤をはじめ、薬剤の開発スピードはますます速くなってきています。2005年に真性赤血球増加症(polycythemia vera)などの骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative tumor)でJAK(Janus kinase)2 遺伝子異常が発見され、昨年末までにJAK2 遺伝子がコードするチロシンキナーゼ(tyrosine kinase)を標的とする6種類の薬剤が海外で臨床試験に入りました。これは驚異的な開発の速さだと思います。今後、分子標的治療(molecular-targeted therapy)を中心とする薬剤の開発速度は一層加速されるため、現状のままでは、海外で使えても国内では使えない薬剤がさらに増えることが予想されます。
 日本では、米国などの諸外国ですでに市販されている薬を使う場合でも、臨床試験後に承認・販売しています。改めて臨床試験を行う理由には、日本人での薬物代謝および安全性を確認するためであるからです。
ですが、少なくとも造血器腫瘍領域では、臨床試験により大幅な投与量の変更が行われたという薬剤は、ボルテゾミブ(bortezomib:抗悪性腫瘍薬)による肺障害が主に個人輸入で使用した患者で明らかになった以外に少数例の臨床試験で明らかになる日本人特有の有害事象については私の知る限りではありません。
 現状では数年にわたる臨床試験とその結果の解析を待つ間に、薬剤を使いたくても使えない患者は、あきらめるか個人輸入で高価な薬を買うしかありません。患者と家族だけではなく医療従事者にとっても、非常に残念なことです。この問題を解決するには日本人における安全性の確認を日本血液学会が中心となって、製薬会社が市販後調査を行うことを監視する権限のある機構を作ることで可能になるはずです。
 米国の場合、明らかに優れた抗がん剤なら数十人から100〜200人規模の第2相臨床試験(phase 2 clinical trial)の後に認可されますが、ほとんどの場合第3相臨床試験(phase 3 clinical trial)を経て認可されます。第3相臨床試験では数百人から千人規模での臨床試験が行われます。認可には医師主導試験で何%が望ましいということはありますが、人種ごとのデータ(アフリカ系やアジア系米国人が臨床試験患者のうちに占める割合は関係ない)は要求していません。この数百人の中にはアジア系患者が含まれることも多いはずです。そこで、できるかぎり、これらの患者の詳細情報を集めることができれば日本人に対する安全性を予知する参考になるはずです。
 多くの薬物代謝に関与しているのは、肝細胞にあるチトクローム(CYP:cytochrome)P450と言われている酵素で、57の機能遺伝子がコードしています。そのうち主にCYP 1、2、3系統群の中の1A2、3A4、2D6、2C9、2C19が薬物代謝に関与しています。フェノタイプ(phenotype:表現形質)まで十分明らかにされているとは言い難いですが、日本人でどのCYPに遺伝子変異が多いかはほぼ明らかにされています。開発初期段階でその薬剤がどのCYPで代謝されるかは明らかにされるので、薬物代謝されるCYPの変異頻度が人種によって大きく異なるときには、製薬会社がそういう薬剤を初めから開発しないか、十分予測した上で臨床試験に臨んでいます。
 したがって、CYPの違いに基づく深刻な有害事象の出現は考えにくいですし、専門家の意見を参考にすべきだとは思いますが、日本人で薬物代謝を改めて診る必要はないように思います。薬物代謝の検討がどうしても必要ならば、日本血液学会の指導の下、市販後調査時に行えば良いのではないでしょうか。
 新薬の最初の発売国から自国で販売するまでの平均期間は、米国と英国では約1.4年、タイとシンガポールでは約3年、日本では約3.9年となっています。欧米と比較すると日本との差は約2.5年です。欧米で開発・販売された新薬が日本で使用が認められ販売されるまでには非常に長い期間が掛かっていることが分かります。この時間差により、日本の患者は諸外国(特に欧米)の患者よりも治療が遅延してしまうために手遅れとなって治療が間に合わずに亡くなる患者がいます。つまり、このDrug lagは単なる製薬業界の問題ではなく、深刻な医療問題となっています。
 前述のことから、造血器腫瘍に対する抗がん剤の場合は、少なくとも米国で承認された薬剤を日本国内で臨床試験を行う必要はないはずです。臨床試験を行わないというリスクとすぐに使えるという利点を比較すると、後者の方がはるかに大きいように思います。
 Drug lagに関して海外で既に使われている薬剤(海外で開発が進んでいる新化合物を含む)を日本でも販売できるようにするには、海外で実施された臨床試験データに日本の臨床試験データで補足するプリッジング試験(Bledging Study:海外の臨床試験データと日本の臨床試験データの橋渡しをする試験)が必要ではないでしょうか。
 この時間差を解消する方法として、世界同時に行われる国際共同臨床試験(Grobal Study)が期待されます。しかし、日本の臨床試験のコストは海外と比較して高額で、臨床試験に要する時間も掛かるので、 日本を除いたアジアで、国際共同臨床試験が実施されることが非常に多いのが現状です。海外の製薬企業としては、少しでも早く臨床試験を終わらせて販売に漕ぎ着けたいわけですから、経営判断として考えれば当然だと言えるでしょう。
 現行の体制のままで行くと、日本はアジアで最も臨床試験が遅れた国になってしまいます。結果的に日本の医療の質が海外よりも劣っていくことになるでしょう。日本としては、国際共同臨床試験に参加できるようになるために早急に臨床試験の迅速化と低コスト化を進める必要があります。

§ 新薬承認の時間差のことで、海外で新薬が先行販売されていても
  日本国内では販売されていない状態のこと


〔参考〕
押味和夫(順天堂大学東京女子医科大学 元教授)提案資料
医薬産業政策研究所
リサーチペーパーNo.31

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第29回 アイドマの法則で顧客を獲得

 皆さんは、AIDMA(アイドマ)という言葉をご存じでしょうか。AIDMAとは、「Attention(注意)」「Interest(関心)」「 Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の頭文字を並べた言葉で、米国の販売・広告の実務書を執筆したSamuel Roland Hall氏が提唱した消費者行動の心理プロセスのことです。
 AIDMAの法則は、マーケティング分野では古くから使われているメジャーな理論で、Attentionを「認知段階(消費者が商品を知る段階)」、InterestDesireMemoryを「感情段階(商品の好き嫌いを判断する段階)」、Actionを 「行動段階(商品を購入・使用する段階)」と区分し、消費者がどの段階にいるかによってアプローチ方法を変えていくという考え方です。
 皆さんの法人であれば、あるサービスを売りたい時に、まだそのサービスについて何も知らない人に対しては、まず知ってもらうことが一番重要になります。このブログの第11回でお話しした「お茶出しマーケティングの戦略」もこれに相当します。すでに興味を持っている人には、そのサービスの良さをしっかり伝えることが重要になります。さらに購入を迷っている人には、行動を後押しするアプローチが重要になります。
 私が兄と慕っている(勝手に思っているだけですが…)2つの医療法人社会福祉法人経営している(運営ではありません)青年理事長がいます。彼は、自法人が提供しているサービスを地域に認知させるために様々なイベント開催しています。特にクリスマスの時のイベントは目を見張るものがあります。色とりどりのイルミネーションで彩られた建物や出し物は夢の国を訪れたような気分になるほどです。それだけではありません。このイベントを通して地域活性化にも一役かっているのです。これもAIDMAの法則と言えるでしょう。そして「お茶出しマーケティングの戦略」を発展させた戦略であるとも言えます。彼は、このイベントを開催するにあたり、ディズニーランドを徹底的に研究していました。顧客(含地域住民:潜在顧客)に楽しんでいただくには何をすれば良いか常に考えています彼の代で急速に事業拡大発展したのも頷けます
 例の介護老人保健施設の施設長彼の法人訪れたことがあるらしく、このように言っていたことを思い出します。「あの人は自分で勝手にやっているだけで、単なる自己満足に過ぎない!」と…それだけ豪語するのだから自分のところでは、さぞかし立派なことをしているだろうと思ったらそうではありません。肩で風を切って「どうだ!」と豪語しているわりには非常にチープなものです。実に哀しいことですが、むしろこの施設長がやっていることの方が「自分で勝手にやっているだけで、単なる自己満足に過ぎない!」という言葉が最もフィットしているように思えます。
 このような稚拙な行為をしてまで、そんなに自分の方が上だということを認めさせたいのでしょうか。人のことをどうこう言う前に自分自身の襟を正したらいかがでしょう。この施設長がサテライトでやっている株式会社の重鎮たちも同様です(第23回参照)。
 こういう人と接していると、いつ爆発するのか分からない不発弾を両脇に抱えながら出口のない暗闇のトンネルをひたすら全力疾走し続けている錯覚に陥る時があります。やむを得ず接しなければならない場合は、リミッターを掛けるようにしています。そうしなければ大惨事になる可能性が極めて高いので別の意味で緊張感を持って接するように心掛けています。人としての底の浅さ目の当たり感じるとともに疲労感だけが残ります
 現在まで過ごしてきた環境活躍していくフィールドによって求められる人間性社会性レベル異なりますから仕方がありません。後は、世間から彼らにCast offという名のチケット手渡されるだけですから…
 私自身、浅い段階人を判断して軽視できるほど頂点を極めていませんので、彼らのような人(自称「頂点を極めた人」)になるためには他に何もせずに1万年ほど修業期間をいただかなくてはなりません。彼らは青年理事長とは対照的映ります
 このAIDMAは、人が何かに興味を持ち行動を起こす基本的なプロセスですから、何もマーケティング分野にだけ当てはまるものではありません。人と人とのコミュニケーションにも活かせるものです。例えば、皆さんが「人脈を広げたい」とか「事業でコラボレーションしたい」と思っていたらどうしますか?前述のように、まずは自分あるいは自分が手掛けている事業をターゲットとなる人に知ってもらうことから始めると思います。
 皆さんは、相手に対して事あるごとケチを付けたり、根掘り葉掘り訊くだけ訊いて自分のこと(自慢にもならない自慢話以外)は一切話さない人のことをどう思いますか?それを考えれば、必然的に取るべき言動は決まってくるはずです。そして…と考えれば納得できるのではないでしょうか。
 今回お話ししたAIDMA以外にもAIDA(アイダ:AttentionInterestDesireAction)、AIDCA(アイドカ:AttentionInterestDesireConviction〔確信〕→Action)やAIDAS(アイダス:AttentionInterestDesireActionSatisfaction〔満足〕)がプロモーション戦略として有効活用することができます。
 また、Webマーケティング分野では、すでにAISAS(アイサス:AttentionInterestSearch〔検索〕→ActionShare〔共有〕)、これにComparison(比較)とExamination(検討)を加えたAISCEAS(アイシーズ)といったモデルが定着しています。このブログの第5回でお話ししたことが、これに相当します。
 スキル理論戦略ツールです。私がこのブログで今までお話ししてきたこともツールです。ツール両刃の刃なのです。その効果大きいほど伴うリスク大きくなります。すなわち、ツール扱う人の人間性と社会性を含む資質レベル問われるということです。ツール扱う人資質レベル低ければ、たとえ優れたツールであっても組織崩壊促進するだけになるということです。これがリスクの中でも最も大きな要因と言えるでしょう。ツール扱う際は、これを十分肝に銘じる必要があります。
 日本の医療福祉システムは、ある意味(歪んだ形で)ガラパゴス化してきました。このブログの第5回第11回でお話ししたことと併せて皆さんの法人も今後ますます激化していく経営環境視野に入れて自法人プロモーション戦略をもう一度考えてみてはいかがでしょうか。



【徒然サプリメント】

事前にSedation(鎮静)状態が体験できたなら…
─ 患者の立場に立って抗精神病薬の作用を認識する ─


 過剰なSedationは、抗精神病薬による長期的な治療では「頭がボーッとする」「眠くなる」等、日常生活における活動の制限や転倒・事故にもつながる注意力の低下といったリスクを伴います。また過剰なSedation状態は、認知機能の低下や服薬中断を誘発する可能性があります。
 NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会が実施した『2006年 精神医療ユーザーアンケート調査報告書』によると、患者が薬の服用で発現する副作用として29.1%が「頭がボーッとする」「だるい」と回答、27.1%が「日中、眠くなる」と回答していて、患者の約30%が日常生活に支障を来していると報告しています。
 前述のように、精神疾患で薬物療法を受けている患者の多くが治療薬のSedation作用が原因と思われる有害事象の出現に悩んでいます。ですが現状では、この過剰なSedationが見逃されていることが多々あります。医療関係者には、このような現状を患者の立場で認識し、患者がより良い日常生活が送れるようにSOL(Sanctity Of Life:人間的尊厳を保った生活)を考慮した抗精神病薬を選択することが求められます。
 そこで大塚製薬(株)〔Bannersにもあります〕では、VSS(Virtual Sedation Simulator)という抗精神病薬の服用により生じる過剰なSedation作用を疑似体験できる装置をこのたび開発しました。
 同装置は、過剰なSedationがどのようなものかを疑似体験できるもので、患者の立場から抗精神病薬のSedation作用が日常生活に与える影響を理解するのに有用な装置です。
 同装置は、視界のぼやけや映像の歪みをつくり、擬似的なSedation状態下で「電話をかける」「写真合わせ」「描写」の3つの簡単な作業を行うことにより、日常生活におけるSedation状態を体験することができます。
 同社では、昨年11月から同装置の日本版を医療関係者に対して体験できる機会を提供しています。統合失調症(※)領域に携わっている医療機関(医療関係者)は、このVSSの体験を検討されてみてはいかがでしょうか。

※ 統合失調症(schizophrenia)
 統合失調症は、約100人に1人が発症する疾患と言われています。症状としては、陽性症状(幻覚や妄想等)と陰性症状(情動の平板化や意欲の低下等)が特徴として挙げられます。その他には、不安や抑うつ、認知機能障害も多くの患者に診られる症状です。
 認知機能障害とは、言葉の流暢性、注意力、記憶力、情報処理等に支障を来たすことで、日常生活との関連から統合失調症における機能障害の大きな要素と考えられています。
 従来の治療法では認知機能に対する改善効果は十分に得られませんでした。ですが、新たに使用されるようになった非定型抗精神病薬(§)には、認知機能障害を改善する効果があり、心理社会的療法を併用することで、認知機能の改善や患者のSOL向上と回復(recovery)に繋がることとして期待されています。

§ 非定型抗精神病薬(atypical antipsychotic)
 定型抗精神病薬(typical antipsychotics )は、ドーパミンD2受容体(dopamine D2 receptor)を遮断するという薬理学的メカニズムにより錐体外路症状(extrapyramidal symptom)や高プロラクチン血症(hyperprolactinemia)等の有害事象が出現しやすい傾向にありました。
 一方、定型精神病薬と比較して非定型抗精神病薬の薬理学的メカニズムは、ドーパミンD2受容体への作用が緩和されていて、セロトニン2A受容体(serotonin 2A receptor)やドーパミンD4受容体(dopamine D4 receptor)、ドーパミンD2受容体の解離速度などの差からより高い抗精神病作用があるため、このような有害事象が出現しにくいと考えられています。

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第28回 コストからバリューへの転換

国家行政の本音は地方行政への責任転嫁
 地方分権推進委員会が出した意見と並行して2006年6月に成立した「高齢者の医療の確保に関する法律」に明記されているように2015年3月から診療報酬体系都道府県別になる予定です。ちょうど団塊の世代70歳を迎え始める時期にあたります。この体系で懸念されるのが、この時期までに各都道府県医療における透明性医療データの収集医療技術の評価などを含めた診療報酬を決められる体制整えられるか、ということです。
 これは、私自身が最も懸念していたことでもあります。良い言い方をすれば「時代にそぐわない中央集権体制の行政システムから地域の特性を活かした地方分権体制の行政システムへシフトさせる」ということなのでしょうが、本音を言えば国で賄いきれないものは、その責任のすべてを地方に負わせるというシステムです。
 2008年3月時点で75歳以上の人口約1,300万人と推計されていて、2025年には約2,200万人にも達すると試算されています。厚生労働省は、このデータから現在、国民医療費3分の1を占めている老人医療費50%弱にまで達すると見込んでいるため、中長期的視野に立って徐々に老人医療費削減する必要があると考えたわけです。
 今さら言うまでもありませんが、これを実現するために考え出された施策が生活習慣病対策平均在院日数の短縮です。高齢者(特に75歳以上)になれば、生活習慣病の外来受療率とそれに伴う入院率高くなります。その中でも生活習慣病を中心とした入院率が高くなります。1人当たりの老人医療費を都道府県別に見ると、最も低い長野県約60万円、最も高い福岡県約90万円です。その差は1.5倍になります。これを解消しようとしたのが生活習慣病対策です。
 一方、平均在院日数に関しては、慢性期(療養)病床急性期病床とではその視点が異なります2012年度までに実施される第1期医療費適正化計画では、介護療養病床介護保険施設等へ転換し、医療療養病床縮小による入院医療費の削減計画実施します。これにより、2011年度末までに医療療養病床25万床介護療養病床13万床をそれぞれ廃止して15万床まで絞り込んで入院費に掛かる医療費削減します。急性期病床では、療養病床削減との相乗効果を狙って入院期間の短縮老人医療費に占める割合圧縮を図っていきます。
 各都道府県の目標達成に関わる実績評価を第1期医療費適正化計画終了後の2013年度実施します。これは、適切な医療を公平に提供する観点からみて合理的と認められる範囲内で各都道府県診療報酬特例措置設定できるということが「高齢者の医療の確保に関する法律 第14条第1項」に明記されています。
 また今年の10月政府管掌健康保険(政管健保:従来は、社会保険庁が運営していたが、現在は全国健康保険協会管掌健康保険〔協会けんぽ〕として承継されている)では、都道府県による医療費の差保険料反映していることが分かったことで医療費を削減して保険料の上昇抑えるために診療報酬単価(1点)を10円から数円程度引き下げようという案が浮上しています。
 一方で医療従事者に関しては、高齢者の割合が低い都道府県への移動加速して、今以上に地域医療崩壊招くのではないかと懸念されています。すなわち地域別診療報酬というシステムは、地域の保険者が行う医療適正化計画インセンティブになるように設計されるとともに、医療崩壊危険も同時に持ち合わせているということになります。
 このように一見地方に権限を与えて地方自治を推進しているように見えても、その中身(本音)を覗けば国家行政の犯してきた負の財産を継承させ、地方行政に責任転嫁しているようにも見えます。
 財務省が公表した『平成20年度末予想 国・地方の長期債務残高総額』でも明らかにされているように、確かに日本は780兆円を上回る巨額な財政赤字を抱えているため、この財政赤字を減らしていかなければなりません。だからといってその対象国民医療費にしてしまうのは、あまりにも安直な発想ではないでしょうか。今までの経緯から考えて、たとえ増税をしてもその一部を国民医療費に回すということはしないでしょう。

医療に資金が流入するシステムへの転換

 各メディアで報道されているとおり、総体的に見ると日本人は豊かであるとされています。日本個人金融資産総額約1,500兆円、その他に土地建物や骨董といった非金融資産総額約2,000兆円と報じられています。合計すると約3,500兆円にも上ります。つまり日本という国は、個人ではなく政府が貧乏だということです。前述のように、このまま政府に期待しても充実した医療システムにするために資金が流入され、それを良循環させることは100%ありえないと言っても過言ではありません。
 皆さんなら、どうしますか?私ならこう考えます。税金に依存しない医療分野資金が流入するシステム構築することです。それには、まず発想を転換することです。医療システムが現在抱えている悪循環抽出して、最終的に資金が流入する良循環構築していくシステムの方向性を見出します。

医療システムにビジネスクラスを導入する

 皆さんがビジネスクラスと聞いて、すぐ頭に思い浮かぶのが航空業界でしょう。周知のとおり、ビジネス法人富裕層向けサービスです。もちろん、より高付加価値サービス求める人がいれば、その上のファーストクラスがあっても良いのです。つまり、このシステム医療分野導入するということです。
 航空業界では、個人向け格安チケット販売で航空会社の利益が圧迫され、航空機の購入や設備投資等がしにくくなりました。その結果、飛行機事故という最悪の事態が起きたのです。この経験を踏まえて高価格で快適性や即時性を重視したビジネスクラスを導入しました。この戦略が功を奏し、航空会社は利益率を高められ、新型機体の購入や設備投資ができるようになったのです。こうして、ビジネスクラス導入によって資金の良循環促進され、航空業界全体の向上していきました。
 医療システムに資金が流れてくるには、老若男女、低所得者層富裕層もすべてが得をするにはどうすれば良いかを考えることです。それでは、どうすれば良いのでしょうか。この問題を解決する方法をお話ししたいと思います。
 まず厚生労働省に対しては、現行のシステムでは、自己規律による無駄遣いをしないシステムなのだから、必要な資金は使っても良いはずという方向に考え方を改めてもらうことです。医療における混合診療同じです。「富裕層がその経済力で命を購入する」と考えるのではなく、高付加価値のサービス高額で提供することで低価格均一サービスによる低利益率で疲弊した医療業界の状況改善するということです。そして、最新医療機器等の設備の導入やそれに伴う投資資金を循環させることで、低所得者層医療の質を向上させます。医療システムへ潤沢に資金が流入されれば低所得者層無料医療サービスが提供できるようになります。すなわち医療基金のようなものを設立して、そこに資金が集まるようにした上で必要に応じて使うことができるようにするということです。
 つまり、富裕層の支払い多くすることで医療システムの良循環生み出していくということです。例えば、富裕層に対して「病気を治療する際にその倍の費用を支払うと、治療を受けることができない貧しい人を1人治療することができます。3倍の費用を支払うと2人治療できます」ということです。
 ある国では、自動車のナンバープレートオークション入手するそうです(オークションでなくても普通に入手することもできます)。場合によっては、自動車本体の価格よりもナンバープレートの方が高額になる場合もあります。当然、オークションで入手できるのは富裕層です。
 では、何故このようなことをするのでしょうか。それは、オークションで得た利益社会に還元しているからです。つまり、このナンバープレート(オークションで入手したナンバープレートかは見れば分かるそうです)をつけることで、国民から尊敬され、ある種のステータスを手にすることができます。この話も医療システムにおけるビジネスクラス発想似ているような気がします。

コストではなくバリューとして考える

 米国の金融危機により行き先を失った資金が一時的に他分野に流入し、近いうちに各地ミニバブル現象が起こると報じているメディアがあります。私ならこの状況をチャンスと捉えます。医療費40兆円をただ問題視するのではなく、医療市場そのものを100兆円誘導していきます。一国の産業規模は約20〜50兆円ですから、日本国内医療市場100兆円まで発展させて世界最大の産業規模にすることで世界経済における存在感高めることができます。
 前述のように日本の個人資産の総額は約3,500兆円になります。医療コストではなく、バリューと考えれば、国民医療費ではなく国民医療消費という価値観変わります。これは非常に重要な視点です。なぜなら医療消費医療機関提供する医療の価値消費すると考えるからです。
 この価値をビジネスの観点から言うと掛かっている人件費4倍以上値段を取ることができることになります。すなわち、そこにはバリューという考え方が根底にあるからなのです。
 例の介護老人保健施設の施設長や彼がやっている株式会社の重鎮たちならば「ぼったくり」等と風説の流布(刑法 第2編 第35章〔第233条〜第234条の2〕「信用及び業務に対する罪」に規定)にも似たゴシップを交じえて騒ぎ立てることでしょう。今までの経緯から事あるごとにケチをつけたり、風説の流布にも似たゴシップを交じえて騒ぎ立てたもの数ヵ月後自分が考え出したアイディアとして発信する可能性が極めて高いことは否定できません。その時々の自分の感情に従った言動責任転嫁を繰り返し、人を諫める前に自分自身を律することができないのですから仕方がありません。こういうことをする人は、自分の自信のなさを他人に投影している人であるとも言えます。私自身、今まで浅い段階(含ゴシップ伝道活動を安易に受け入れる)で人を判断し、軽視した経験がないのでこういう人の言動は理解に苦しみます
 妄想性人格障害(paranoid personality disorder)に罹患してしまうほど今まで三項関係(triadic relations)を必要としない環境で過ごしてきたのでしょう。現在まで過ごしてきた環境活躍していくフィールドによって人間性社会性を含めて求められる資質レベル異なりますから一概には言えませんが、実に哀しいことです。世の中、広いですからこういう人もいます。
 半径2メートルの帝国は、肩で風を切って自画自賛:過信(するのも結構ですが…)その力とネットワークを駆使してアンダーグラウンドを含めた活動励むのでしょうか。個人的には「あまり天に向かって唾を吐くようなことはしない方が良いのでは?」と思いますが、どうしてもやりたいのであれば仕方がありません。いかほどのものかお手並み拝見させていただきます。勉強になりますから…
 これまでお話ししてきたようにバリューで考えれば、国民医療消費100兆円にすることは、それほど無謀な考えではないことがお分かりになると思います。そして、が面倒をみなければならないのは3分の1強程度抑えることも可能になってきます。医療システム資金が流入してくるようになると、低所得者層高額な医療であっても無料で受けられるようにもなります。それに付随して様々な応用が可能になります。
 富裕層低所得者層一律3割自己負担という現行のシステムを不平等と考えるのは、果たして私だけなのでしょうか

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